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第1話・婚活アプリ その2

ผู้เขียน: さぶれ
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-17 11:02:29

「眞子先ぱぁい! 朝からどうしてそんな怖い顔しているんですかぁー?」

 勤務地のさくら幼稚園に到着してすぐのこと。

 一向に『いいね』受信が止まらないので、スマートフォンを片手にどうしたものかと困っていたら、後輩の鮫島理世(さめじまりよ)が声を掛けてくれた。目力のあるパッチリとした顔立ちに、ショートカットが良く似合っている。現在二十五歳の彼女は、エネルギーに満ち溢れている。子供たちに人気の教員だ。

「あ、理世ちゃんおはよう」

「んんっ、眞子先輩がついに! 婚活アプ…もが」

「しーっ。声大きいっ」

 スマートフォンの画面をのぞき込み、大声を上げて現状を説明しようとする後輩の口を押さえつけた。

「実は――」

 昨日、独身最後の親友が私を哀れん、勝手に婚活アプリを登録してしまった経緯を説明した。

「それで、メッセージがいっぱいきちゃって、どうしていいのか全然分からないの」

 とりあえず写真は無し、名前を眞子だから『M』、年齢二十九歳と生年月日のみ嘘偽りなく登録している。勿論独身なので、登録する時に独身にチェックも入れて。

 たったこれだけの情報なのに、私にメッセージを送ってくる人が多すぎてスゴイ。もうびっくりする。

「こんな所へ登録する男は、みーんな出会いを求めていますからねー。女性とあれば誰でもメッセージを送る人が多いみたいですよぉ」

「そうなんだ…やっぱり怖いし使うの止めよう」

「いやいやいやいや、勿体ないです! わかりました。日頃のお世話に感謝を込めて、私が眞子先輩にアプリのレクチャーをして差し上げましょう!」

 理世ちゃんは、婚活アプリというか、出会い系アプリの達人のようで、詳しくアプリについて教えてくれた。

 先ず、登録すると初回サービスである程度のポイントが貰えて、『いいね』を送れるようになるらしい。本来このポイントは、基本的にお金を払ってサイト上で買うらしい。マッチングさせる時や、『いいね』を送る時、このアプリの様々な機能を使う時に、ポイントを使うシステムになっている。

 しかし、いきなり初回の相手からポイントを奪取するとなると、利用者が誰も使わないので、ある程度の無料期間やポイントサービスがあるらしい。

 因みにこの婚活アプリは『Love Sea(ラブシー)』と言い、女性は登録後三日間だけ、男性に対して無制限で『いいね』を送って相手が『ありがとう』を送ると、友人関係が成立してマッチングさせる事が可能のようだ。紹介制なので、きっちりとした身分登録も行わないと全ての機能が使えないようで、理世ちゃんに免許証を奪われ本人確認登録までやられてしまった。

 す、素早い…。私にはついていけない世界だ。

 更にしっかりしたプロフィールを勝手に入力され、俯き加減のあまりきちんと顔が見えない状態の横顔を撮影・登録された。

 眞子先輩は綺麗だから、まともに顔面映すととんでもない申込数が来るから、顔がよく解らないくらいで丁度いいんです、とのことだった。顔も見えないのにいいのかな、と思うようなプロフィール画像に仕上がっている。

 お世辞でも綺麗と後輩に褒めてもらったの嬉しいけれど、だったらどうして彼氏ができないの?

 奥手な自身の性格に問題があるのだろうか。それなのに婚活アプリなんて…私にはハードル高すぎるような気がする。

――初めまして。Mです。幼稚園の教員をやっています。子供好きで、お菓子作りが得意です。読書・食べ歩き・キャンプが好きです。引っ込み思案な所がありますが、趣味やお話が合う方とお喋りしてみたいです。よろしくお願いします。

「まあ、こんなところかな」

 理世ちゃんは、勝手に私の短い自己紹介文を作り上げ、趣味欄のタグに『お菓子作り』『読書』『食べ歩き』『キャンプ』『お風呂』と入力してしまった。

「ええっ、こんな事まで言っちゃうの?」

 確かに私は、お菓子作りも読書も食べ歩きもキャンプもお風呂も好きだけど!

「趣味や話が合わない人と、やり取りするだけ時間の無駄です。もしかしたら結婚となると、趣味が合わないと、あっという間に会話ゼロ夫婦になりますよ」

 このサイトでは男性を年収別で選定できる事も教えてもらったけれど、まずはどのような男性が登録されているのかを見ようと思い、アプリのトップページに入った。

 新着・おすすめ順に並んでいるようで、年齢の近しい人が並んでいる。年齢から、マッチングさせられる相手をAIが選別しているみたい。

 並んでいる男性の写真の下に年齢と住んでいる県が入力されている。私が都内だから、大体都内、もしくは近県が表示されている。年齢はアラサーが多く、写真は様々だ。引きの分かりにくい写真であったり、友人同士の写真を使っていたり、水槽の魚の画像だったり、顔のアップだったり、上半身だったり。

「や、ちょっと理世ちゃん、なんかいきなり『いいね』がいっぱい増えているんだけど…」

 登録してすぐなのに、こんなものなの!?

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